鳥羽院の蝉折せみおりとか、小松殿の高野丸こうやまるとか、清原助種きよはらのすけたねが名をたかくした蛇逃じゃにがしの笛とか、ずいぶんの名器もあったらしいが、近ごろの殺伐さつばつな世間で、こんな笛を見たことは
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)