その伯爵海蔵寺三郎かいぞうじさぶろうは、二十八歳で襲爵し、背負い切れないほどのおびただしい財産と、物々しくも血腥ちなまぐさい祖先の手柄によってかちた家名とをけて、当座はこの上もなく神妙に