されば、父美濃守に申しつけられ、自分幼年中は、駿河の臨済寺にあずけられ、喝食かつじきの修業いたしておりましたれば、治部大輔義元じぶのたゆうよしもと殿がお顔はよう見覚えておりまする。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)