水月みぞおち)” の例文
平馬を、水月みぞおちに一本入れて、その場に絶気ぜっきさせた雪之丞が、稲塚の方へ突進して行ったときには、もう三町も先きを、黒い影が、風のように、煙のように駆け去っているのだった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
おせいは水月みぞおちに切りこむようにこみ上げてくる痛みを、帯の間に手をさしこんでじっと押えた。父はおせいのあまりに思い入った様子に思わずためらって、しばらくは言葉をつぐこともできなかった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)