庭伝いに、数寄屋へ通った客なる人、京浪人と称しているが、まことは七条左馬頭しちじょうさまのかみ梅渓右少将うめたにうしょうしょう交野左京太夫かたのさきょうだゆうの三卿で、歴々たる公卿たちである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「京都の梅渓右少将うめたにうしょうしょう様からお頼まれしてある、その三ツの荷葛籠につづら……」と言いかけて恐ろしさにつばをのんだ。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)