未亡人おくさん)” の例文
人のいないところで未亡人おくさんとひそひそ話をしているときなぞ、たまたま私がそばに行ったりすると真っ青になって私をにらみつけたりしたことがありました。
抱茗荷の説 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
「ええ。あんな男前の人だから、未亡人おくさんの気に入るくらい何でもないでしょうよ」
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かりに、中風で寝ている白髪の老婆と、未亡人おくさんを、そのときの二人の女遍路として考えてみれば、二人は母が金のお札を飲んで死んだものと思っていたに違いない。
抱茗荷の説 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
しかし君子にはまだ一抹いちまつの疑いが残っていた。ほんとうに未亡人おくさんが母を殺したものかどうかなお的確に知りたいと思ったし、ほんとうに殺したものなら生きながら少しは苦しんでもよいはずである。
抱茗荷の説 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)