と保身にあわてて、年暮くれから初春はるの極寒を、賀名生あのうの奥へ、そして、みかどの御母新待賢門院しんたいけんもんいんへ、とくにまた、北畠親房などへ、ごきげんをとり結ぶべく、われがちに上って行った。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)