斎藤太郎左衛門さいとうたろうざえもんむすめが出る。五百はこれを聞きつつ思案した。これは負けていては際限がない。ためしを引いて論ずることなら、こっちにも言分いいぶんがないことはない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)