華厳は議論だが——抽象究的ちうしやうきうてきで説明で一概に推して行つた議論だが、法華経はもう議論ではなかつた。飽迄描写である。心のシインが心のシインに無限につゞいて描かれてある。
谷合の碧い空 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)