俊助は好奇心が動くと共に、もう好い加減にアルコオル性の感傷主義センティメンタリズムは御免を蒙りたいと云う気にもなった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、俊助はその音を聞くと共に、日頃彼の軽蔑けいべつする感傷主義センティメンタリズムが、彼自身をもすんでの事に捕えようとしていたのを意識した。この意識は勿論彼にとって、危険の意識には相違なかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)