ほんとに保が多計代の情熱の子パッショネート・チャイルドならば、何かの不安から保のそばをはなれかねる気分が多計代になかったという方が、伸子にすれば納得しかねた。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
伸子は、いつだったか父の友人が、保さんという御子息は奥さんの情熱の子パッショネート・チャイルドですね、といったことを思い出した。多計代は、そういわれたとき非常に満足の表情をした。
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
保が生きてゆく具体的な内容よりも、多計代にとっては、彼がいつも変らない母の情熱の子パッショネート・チャイルドであるという意識の方がさきに映っているのではないだろうか。保は、どういうことになるのだろう。
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
伸子が動坂の家へ遊びに行って、保と二人きりですこしゆっくり話しこんでさえ多計代は、その話の内容を保から話させずにいられないほど、自分の所謂いわゆる情熱の子パッショネート・チャイルドから伸子をへだてようとして来た。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)