チャイコフスキーを無口にし、憂鬱ゆううつにし「悲愴交響曲パセティック・シンフォニー」を作らなければならぬ心持こころもちにしたのは、こういう不幸の連続のためではなかったと誰が保証しよう。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
弟の注意で「悲愴交響曲パセティック・シンフォニー」と命名し直したシンフォニー、これこそは、チャイコフスキーの全生涯ぜんしょうがいの総決算で、その自伝であると言われ、一方にはまたその救いのない絶望感のために
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)