微光うすびかり)” の例文
丘もあれば林もあり人家もあれば小川もある。蛍の光か月光か、蒼澄んだほのかな微光うすびかりが、茫然と別天地を照らしているが何んの光だか解らない。
林の中へはいった時、石に腰かけた土人老婆が、無心に歌をうたっているのを、微光うすびかりの中に見て取った。
まだ痛む首根っ子を片手で抑え、別の片手を縁のふちへかけ、開いている障子の隙間から、部屋の中を窺っている勘兵衛の姿は、迫って来る宵闇の微光うすびかりの中で、まこと大きな蟇のように見えた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)