「声だけ聞いていると、まさに惚々ほれぼれしたいい声であったが……姿を見ると案外の代物しろもの後弁天前不動うしろべんてんまえふどうという例も多いことだから、むしろ見ない方が我々の幸福であったかも知れない」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)