建部タケルベ)” の例文
譬へば、建部タケルベの伝承には、却て成人後の伝に重きをおいて、生ひ立ちについては、父帝の、ウスにたけびせられた事を言ふのみである。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
軽部カルベは木梨太子の為に、葛城部カツラギベは磐媛皇后の為に、建部タケルベは倭建命の為に、春日部は春日皇后の為に立てられた名代・子代であつた。
やまとたけるの為に建部タケルベを、木梨軽太子の為に軽部カルベを立てた類は、死者の執念を開いて祟らぬ様に慰めたのであらう。此等は特殊なものである。やまとたけるには子孫があつた。
語部と叙事詩と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
建部タケルベの伝誦した物と思はれるやまとたけるの命に関するものも、安曇の民の撒布したと推察せられる大国主の情詩も、皆記・紀の時代の区別に関係なく、よく訣ること、後の木梨軽太子の情詩と
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)