庵原将監いはらしょうげん)” の例文
黒々と鉄漿かねを染めた歯が下唇を噛んでいた。すぐ側に居流れている牟礼主水正むれもんどのしょう庵原将監いはらしょうげんのほうへ、書状は無造作に投げられていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや義元のみでなく、今川家の参謀といわれる庵原将監いはらしょうげんにも、名将の聞え高い牟礼主水正むれもんどのしょうにも、すぐそれに答えられる考えもない容子ようすなのである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庵原将監いはらしょうげんと名乗って来た者を突き伏せた。しかし、突き捨ててまたすぐ進む。——鉄漿公方おはぐろくぼうはいずれにありや。駿河殿の首級しるしな申しうけん。雨も叫ぶ。風も叫ぶ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)