僕はあるいは汽車の中から山を焼いている火を見たり、或は又自動車の中から(その時は妻子とも一しょだった)常磐橋界隈ときわばしかいわいの火事を見たりしていた。
歯車 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)