打ちあけるが、彼女あれはおれの馴じみだった。純友と共に一夜騒いだ家とは、べつな遊宿の女だが、常平太貞盛じょうへいたさだもりは、よく通っていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ。じゃあ、この私とあなたとは、従兄弟いとこにあたるわけです。思い出しました。大叔父国香どののお息子——常平太貞盛じょうへいたさだもりどのも、早くからこの都へ、遊学に来ていると聞きました。あなたは、その貞盛どのですか」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)