左衛門尉忠次さえもんのじょうただつぐは、家康の満面から、じいんと、沈みこんでゆくような、感情の抑圧よくあつを見て、反対に、ぶるると、くちびるをふるわせた。忠次には、抑えきれなかった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)