いつもならば江戸御府内ごふない湧立わきたち返らせる山王大権現さんのうだいごんげんの御祭礼さえ今年は諸事御倹約の御触おふれによってまるで火の消えたようにさびしく済んでしまうと
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)