仲人なこうど宝屋祐左衛門たからやゆうざえもん夫婦にまもられ、駕籠かごの垂れを深々とおろして、多賀屋へ乗込んで行ったのは、秋の宵——酉刻むつ半(七時)そこそこという早い時刻でした。