しかし自分に愛想あいその尽きかけた時、自我の萎縮した折は鏡を見るほど薬になる事はない。妍醜瞭然けんしゅうりょうぜんだ。こんな顔でよくまあ人でそうろうりかえって今日こんにちまで暮らされたものだと気がつくにきまっている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)