女は逃げて大多和義久おおたわよしひさの家へ往った。それを知った頼朝は、事にかこつけて義久の家へ往って、宗親を呼ばしてののしり、怒りにふるえる手に刀を抜いて宗親の髪をった。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)