儒艮ザン)” の例文
併し今こそ儒艮ザンが寄らなくなつたので、鱶を代りに用ゐる事にして居るのは事実だが、海亀は現に沢山居るのだから、其来なくなつた代りに使うたものとはうけとれぬ。
信太妻の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
津堅ツケンの島(中頭郡)では、島の六月の祭りを「うふあなのウガン」と言うて、其頃あたかも寄り来る儒艮ザンを屠つて、御嶽々々に供へる。其あまりの肉や煮汁は、島の男女がわけ前をうけて喰ふ。
信太妻の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
動物祖先を言はぬ津堅の島にも、曾ては儒艮ザンに特殊な親しみを持つて居たらしい。
信太妻の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)