声とともにその鎧櫃の中から、スックと立ち上がった白衣びゃくえの異相を眼にしたときには、傲岸奸略ごうがんかんりゃく、人を人とも思わない丹波も、ア、ア、アと言ったきり、咽喉がひきつりました。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)