なんぢ)” の例文
なんぢ何ぞ自ら欺くやと云はぬばかりに刺笑したるが爲に、一青年の心は牽牛花あさがほの苗の只一足に蹂躪されたるが如く、忽然として其の力を失ひ、突如として車を捨てて走るに至つたのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
なんぢの鍋で粥を造るのみよりは、伱の口腔で弼を造れ。伱の藥鋪よりのみ消化劑のヂアスターゼを得んよりは、伱の體内よりヂアスターゼを得よ。逃げ腰になつてゐて城の守れたためしは聞かない。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
力不滅論は圈内の論としては實に妙であるが、盆地の小魚拳石を廻つて、水の長さ終に究まる無きを信じて居るのである。太陽漸く冷えて其の熱那處いづくかに存せる。試みになんぢが一句を道ひ來れ。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)