のちに「岡の小町」そっくりの美男になって、今文尚書きんぶんしょうしょ二十九篇で天下を治めようと言った才子の棟蔵とうぞうである。惜しいことには、二十二になった年の夏、暴瀉ぼうしゃで亡くなった。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)