わが国でこの類の最も古いらしい伝説は、神代に事代主命ことしろぬしのみこと小舟で毎夜中海なかうみを渡り、楫屋いや村なる美保津姫みほつひめに通うに、鶏が暁を告ぐるを聞いて帰られた。
祭神は大国主命おおくにぬしのみこと事代主命ことしろぬしのみこと宇賀魂命うがのみたまのみことの三座で祭日は九月九日であって「相伝うこの神はタタラ師の持ち来たりし神なりと、ゆえに金鋳護かないごの神ともいう。また山の神ともいう」
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)