青年せいねん
朝のうちに神戸港を出帆した汽船浪花丸がひどくたどたどしい足どりで四国のこの小さな港町に着いたのは、もうその日の夕暮であつた。まだ船がかなりの沖合に動いてゐる時分から、ばたばたと慌しげに洗顔に出かけたり、狭い三等船室でよろけながら身仕度を始め …
題名が同じ作品
青年 (新字新仮名)森鴎外 (著)