老猾抄ろうかつしょう
「もう私は一切酒は飲まない。」 私の叔父にあたる岩城源造は余程神妙さうに繰返してゐた。 「それあ、結構ですね、一切飲まないといふことも無理でせうが、好い齢をしてカフエーに行くといふやうなことは……」 などといひかけてゐるうちに私は、吾ながら …