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家邸
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いへやしき
なるほど銀行家の
家邸を買つたと云ふだけあつて、
御影石の門柱には、鉄格子の扉がついて、玄関まで
砂利が敷きつめてある。
家を
持つて
彼是取り
紛れてゐるうちに、
早半月餘も
經つたが、
地方にゐる
時分あんなに
氣にしてゐた
家邸の
事は、ついまだ
叔父に
言ひ
出さずにゐた。ある
時御米が
納てその
跡が八十四五
俵程も取入ます
大凡家邸五百兩諸道具が三百兩餘り
抱への遊女が十四五人是を
それは
世間から
見ると、
人數は
少なし、
家邸は
持つてゐるし、
樂に
見えるのも
無理のない
所でせうさ。