鼻汁はなじる)” の例文
鼻汁はなじるのなかに菌も出たらしい……この病気は鼻汁のなかに一番多く菌があるんだそうです。今度ですっかりきまったわけで、死刑の宣告みたいなものです
(新字新仮名) / 島木健作(著)
すこしばかり青い鼻汁はなじるをたらしかけている。けれど、お時の目には、やっぱり死んだおやじにていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからまた、胃の洗滌せんじょうをすると言って長いゴム管を咽喉のどから無理に押し込まれたとき、鼻汁はなじるといっしょにたわいなくこぼれる涙に至っては真に沙汰さたの限りである。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
各国の教育史を見てもペスタロッチ、フレーベルなどは自身で鼻汁はなじるをたらした子供を集めて教えたということは残っているが、役人になったかどうか、世人せじんは問わない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
この方は九州一帯に分布する話の中にも出てくるのが普通で、それよりも東へ進むと越後から奥羽のはてまで、見にくい顔で鼻汁はなじるらした小さな子供をもらってくるというのが多く
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
乳房ちぶさを出した女があかぼう鼻汁はなじるを啜りながら私をしかった。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)