“鵞(が)” の例文
其書(しよ)を借(か)りえてよみしに、○塔不剌(たふふら)とありて注(ちゆう)に○葱(ねぎ)○椒(さんしよ)○油○醤(ひしほ)を熬(いりつけ)、後(あと)より鴨(あひる)或は雞○鵞(が)をいれ、慢火(ぬるひ)にて養熟(しあげる)とあり。
窓のところに、一本、ふるい鵞(が)ペンがのっていました。これはしじゅう女中たちのつかっているものでした。
彼がエリザ式の半ズボンに絹の靴下を膝頭(ひざがしら)で結んだ右足を左(ひだ)りの上へ乗せて鵞(が)ペンの先(さき)を紙の上へ突いたまま首を少し傾けて考えているところを想像して見た。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから、砂函とインキ壺を入れる正方形の枡穴があって、その二つの枡穴の中間には、鵞(が)ペンや封蝋などといった細長い物を入れる長方形の溝が刳(く)りぬいてある。
欄間(らんま)や壁障(へきしょう)はすべて総漆(そううるし)、襖には、狩野永徳(かのうえいとく)そのほか当代の巨匠(きょしょう)が筆(ふで)をそろえて鵞(が)の間、芙蓉(ふよう)の間、墨梅(ぼくばい)の間、遠寺晩鐘の間などと呼ぶにふさわしい彩管(さいかん)を揮(ふる)っている。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ド・ヴァレーズのでたらめを鵜(う)のみにする公爵のあほうのために苦心が水の泡(あわ)になり、そのいまいましさを片手の鵞(が)ペンといっしょに前方に突き出す瞬間の皮肉な心理描写であろう。
チョッキの下に見えている赤い綬章(じゅしょう)の一端、皮の半ズボン、すみずみにNの花文字と鵞(が)の紋とのついた紫びろうどの鞍被(くらおお)いをつけた白馬、絹の靴足袋の上にはいた乗馬靴、銀の拍車
ペンは鵞(が)の羽毛を削ったもの、そして瓶はないとみえて、綺麗な切籠硝子(きりこガラス)の皿にインキ様の液体が載っているのであった。老人はその薄い堅靱なものの上に、しきりに何か書いている。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
いまだに彼女等がハリウッドへスターのサインを貰う為めに手紙を鵞(が)ペンでなぞりなぞり書いてるような娘たちであったらこりゃむずかしい。こりゃ、肌地より分量で示すよりほかあるまい。
百喩経 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
赤い御本をひらいている画(え)のついた表紙のや、三角帽(さんかくぼう)のリボンに鵞(が)ペンをさしたおばあさんがテエブルの前に腰をかけて、なにか書いていると、そのそばから大きながちょうがくちばしをあけて
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
色ある衣(きぬ)は唐松(からまつ)の翠(みどり)の下蔭(したかげ)に章(あや)を成して、秋高き清遠の空はその後に舗(し)き、四脚(よつあし)の雪見燈籠を小楯(こだて)に裾の辺(あたり)は寒咲躑躅(かんざきつつじ)の茂(しげみ)に隠れて、近きに二羽の鵞(が)の汀(みぎは)に𩛰(あさ)るなど、寧(むし)ろ画にこそ写さまほしきを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ニツケルの産科(さんくわ)の器械(きかい)鵞(が)のごとき嘴(はし)して光(ひか)り
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鵞(が)ペンの尖(さき)を立ててゐる。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
其書(しよ)を借(か)りえてよみしに、○塔不剌(たふふら)とありて注(ちゆう)に○葱(ねぎ)○椒(さんしよ)○油○醤(ひしほ)を熬(いりつけ)、後(あと)より鴨(あひる)或は雞○鵞(が)をいれ、慢火(ぬるひ)にて養熟(しあげる)とあり。
鵞(が)ペンだの、そのほか、机の上にのっている、耳の聞えるものたちにむかって、言いました。
鵞(が)の鳥(とり)を捕(と)らむとて岸(きし)ゆ落ちぬる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
大族(おほうから)なす鵞(が)の鳥
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)