あき)” の例文
そして、這うが如く、なお断崖のへりまで行くと、眼の下の盆地に、忽然こつぜんと、あきらかな城廓じょうかくが望まれた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
懐紙は、点々、紅梅をちらしたように染まっていたが、なおあきらかに乾かぬ墨のあとが読まれた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
片方の耳はひどく冷たいが、今朝はあきらかに全姿を見せている駒のいただきから落ちてくる風に、足元から払われて行くと、ゆうべからの疲れも焦躁しょうそうっと遠方のものになってしまう。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その裾野すそののゆるやかに野へつづく果てまで、あきらかな線を描いていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まさに、消えなんとする灯は、滅前、あきらかな一せんの光りを放つ。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ暗いことは確かで、外には星があきらかだ。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)