がと)” の例文
太閤殿下の御恩を蒙り給うことは海山にもたとがとう存じますけれども、先年若君が御誕生になりましてからは、我等のひがみかは存じませぬが
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さあれ、其許そこたち母子おやこは、朝敵のとがにつらなる者とはせぬ。——安住の地を与えてやろう、これにおれ——と仰せてはくださいましたが、なんぼうにも居耐いたがとうて
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おのれたくみで、惣次郎の差料さしりょうの脇差へ松脂をぎ込んで置きながら、其の脇差を抜いて惣次郎がちょん/\切合ったという処から事があらわれて、富五郎はなんといってものががとうございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうもがとう、お蔭で僕の方は夕刊にまにあった、これは少しだが」
頭と足 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
ありがとうござりますそのお言葉をうかがいました嬉しさは両眼を失うたぐらいにはえられませぬお師匠様や私を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
……たとえ如何ようなお咎めをうけるとも、関羽には忍びがとうて、この身がふるえます
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さらばまからん。ご所望、もだしがとう候えば」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)