鉄拳てつけん)” の例文
旧字:鐵拳
若者は何のと金剛力を出したが、流石さすがは若者の元気に忽地たちまち重右衛門は組伏せられ、火のごとき鉄拳てつけんあられとばかりその面上頭上に落下するのであつた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
いつも画学ぐわがくと習字にかけては全級ぜんきふたれも及ぶものゝない長吉ちやうきち性情せいじやうは、鉄拳てつけんだとか柔術じうじゆつだとか日本魂やまとだましひだとかふものよりもまつたちがつた他の方面に傾いてゐた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これは越前ゑちぜん名代なだい強力がうりき一日あるひ狩倉かりくら大熊おほくま出逢であひ、てるやりくまのために喰折くひをられこと鉄拳てつけんげてくまをば一けんもと打殺うちころしこの勇力ゆうりよくはかくのごとくであるとくまかは馬標うまじるしとした。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)