釜敷かましき)” の例文
弁慶べんけいが七つ道具を背負う様に似ているところからその名を得たのでありましょう。余目あまるめで出来る釜敷かましきにも立派な形のがありました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
綱の先は井戸の車をくゞつて向う側の井桁の上に乘せた大釜の下に入つてゐるのだ、——いや大釜の下に敷いた釜敷かましきの端に縛つてあるのさ。
かんがへた結果あげく、まあ年長としうへだけに女房かみさん分別ふんべつして、「多分たぶん釜敷かましきことだらう、丁度ちやうどあたらしいのがあるからつておいでよ。」とつたんださうです。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そんな家から小官員こかんいんさんの新家庭へゆくと、伯母さんは多い毛をお釜敷かましきのような束髪にねじって、襟なしの着物で、おかみさんでもひっかけ(帯の結びよう)でなしに
「物の道理を申上げているんですわ。年寄は年寄らしくなすったら宜いでしょう。真中が透けて釜敷かましきのようになっているんですから、今更彼方にいればなんて仰有っても始まりませんよ」
心のアンテナ (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
此處こゝがその、ひどなかちやうしき面白おもしろいのは、女房かみさんが、「なにかのお禁呪まじなひになるんだらう。」とつた。そこで、そのむすめが、うや/\しくおぼんせて、その釜敷かましきつてる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
釜敷かましきのようだとさいにまで馬鹿にされらあ。目だってもうソロソロ鳥目だぜ。日中は人間並みに構えていても、夕方になるとチラチラする。乗換切符をお改め下さいなんて言ったって無理な註文さ。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
うすると、きいちやんいはく、「釜敷かましき? なんにするだらう?」
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)