がさ)” の例文
かさがさねの早業はやわざに、わたくしいたくち容易よういふさがりませんでしたが、ようやちつけて四辺あたり景色けしき見𢌞みまわしたときに、わたくしたびおどろかされてしまいました。
政子は、かえって、機嫌きげんよかった。静をさしまねいて、の花がさねの御衣おんぞを、きょうの纒頭はなむけぞと云って与えた。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妾は児のかさがさね竜に縁あるを奇として、それにちなめる名をばけつ、い先のさち多かれといのれるなりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
あの利口さうな女の童は、撫子なでしこがさねの薄物のあこめに、色の濃い袴を引きながら、丁度こちらへ歩いて来る。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
桃太郎はこういうかさがさねの不幸に嘆息たんそくらさずにはいられなかった。
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)