ほと)” の例文
新字:
「サンジスの岸で眠るときに夢の裡で。そして再びまたもつと先きになれば——他の眠りが(死が)私を襲ふときに——より暗い川のほとりで。」
みがきてにはかげも心地こゝちよげなるを籠居たれこめてのみ居給ゐたまふは御躰おからだにもどくなるものをとお八重やへさま/″\にいざなひてほとりちかき景色けしき田面たのもいほわびたるもまた
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と其後吉原土手のほとりへ毎朝早くより久八は出行いでゆき蘆簀茶屋よしずぢややかげひそみて待つとも知らず三四日すぎ飮馴のみなれぬ酒の二日ゑひおもひたひを押ながら二本づつみを急ぎ足に歸る姿すがた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
上布を着たひとは、あたしのほとりにも澤山ある。それなのに、どうした事かとかく連想は近松の「心中宵庚申よひかうしん」の、八百屋の嫁御よめごお千代のところへ走つてゆく。お千代ひとりが着たかのやうに——
夏の女 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
はづし元の如くかべにかけ圍爐裡ゐろりほとりには茶碗ちやわん又はさかなを少々取並とりならおき死したるお三婆がからだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
拾ひ取り行くほどに一里づかほとりより申々御旅人樣是より先に人里なし此宿このやどへ御泊り成れと走り來るを見返れば年の頃十三四なる少女なり今日はつかれたり何所へ泊るも同じ事案内あんないたのむと家路いへぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)