“遅桜”の読み方と例文
旧字:遲櫻
読み方割合
おそざくら100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
きょうも彼は、八坂やさか祇園林ぎおんばやしなど、遅桜おそざくらの散りぬく下を、宿の方へ、戻りかけていた。すると誰か、将門将門と、うしろで呼ぶ者がある。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古奈こな、長岡——長岡を出た山路には、遅桜おそざくら牡丹咲ぼたんざきが薄紫に咲いていた。長瀬を通って、三津の浜へ出たのである。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
所々しょしょ遅桜おそざくらが咲き残り、山懐やまぶところの段々畑に、菜の花が黄色く、夏の近づいたのを示して、日に日に潮が青味を帯びてくる相模灘が縹渺ひょうびょうと霞んで、白雲にまぎれぬ濃い煙を吐く大島が
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)