茅屋ばうをく)” の例文
此篇も亦しかなり。首段は牧童たるダヰツトの事を敍す。即ち我がをさなかりし頃、ドメニカにはぐゝまれてカムパニアの茅屋ばうをくに住めりし時の境界きやうがいに外ならず。
是日このひはことに快晴くわいせいして村落そんらく秋景しうけい百逞ひやくてい目をうばふ。さて平山ひらやま一ツをこえさかあり、すなはち地獄谷へいたるのみちなり。さかの上より目をくだせば一ツの茅屋ばうをくあり、これ本文ほんもんにいへる混堂ゆやなり。
「……一門の茅屋ばうをくぺうあり、三尺の雄刀七尺の身、憂国みだりに招く衆人のそしり……」
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
翌年よくねん一月いちぐわつ親類見舞しんるゐみまひに、夫人ふじん上京じやうきやうする。ついでに、茅屋ばうをく立寄たちよるといふ音信たよりをうけた。ところで、いまさら狼狽らうばいしたのは、そのとき厚意こうい萬分まんぶんいちむくゆるのに手段しゆだんがなかつたためである。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
祥瑞しよんずゐ江村かうそんは暮れかかつた。藍色あゐいろの柳、藍色の橋、藍色の茅屋ばうをく、藍色の水、藍色の漁人ぎよじん、藍色の芦荻ろてき。——すべてがやや黒ずんだ藍色の底に沈んだ時、忽ち白々しらしらと舞ひあがるお前たち三羽の翼の色。
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
われはこれより茅屋ばうをくのうちなる寡婦孤兒の憐むべき生活なりはひを敍し、賑恤しんじゆつの必要と其效果とに及べり。
是日このひはことに快晴くわいせいして村落そんらく秋景しうけい百逞ひやくてい目をうばふ。さて平山ひらやま一ツをこえさかあり、すなはち地獄谷へいたるのみちなり。さかの上より目をくだせば一ツの茅屋ばうをくあり、これ本文ほんもんにいへる混堂ゆやなり。
人々さかなかばにいたりし時、茅屋ばうをく楼上ろうしやうに四五人の美婦びふあらはれ、おの/\てすりによりて、はるかにこの人々をゆびさすもあり、あるひはわらひ、あるひは名をよび、あるひは手をうちたゝき
人々さかなかばにいたりし時、茅屋ばうをく楼上ろうしやうに四五人の美婦びふあらはれ、おの/\てすりによりて、はるかにこの人々をゆびさすもあり、あるひはわらひ、あるひは名をよび、あるひは手をうちたゝき