花紅葉はなもみぢ)” の例文
ちやして大奧おほおくにもたかく、お約束やくそく聟君むこぎみ洋行中やうかうちうにて、寐覺ねざめ寫眞しやしんものがたる總領そうりやう令孃ひめさへ、垣根かきねさくられかし吾助ごすけ、いさヽかの用事ようじにて大層たいそうらしく、御褒美ごはうびたまはる菓子くわし花紅葉はなもみぢ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
花紅葉はなもみぢうるはしく仕立し娘たちが春着の小袖、ゑりをそろへてつまを重ねて、眺めつ眺めさせて喜ばんものを、邪魔ものの兄が見る目うるさし、早く出てゆけねと思ふ思ひは口にこそいださね
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
花紅葉はなもみぢうるはしく仕立したてむすめたちが春着はるぎ小袖こそでゑりをそろへてつまかさねて、ながめつながめさせてよろばんものを、邪魔じやまものゝあにうるさし、はやてゆけねとおもおもひはくちにこそいださね
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こひ一方いつはうつよよく一方いつはうはきものとくはいつはり何方いづれすてられぬ花紅葉はなもみぢいろはなけれど松野まつのこゝあはれなり、りとて竹村たけむらきみさしき姿すがたおもえもしたれ、あさからぬ御志みこゝろざしかたじけなさよ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)