せん)” の例文
いま支那海シナかい波濤はたうつて進航しんかうしてるから、よし此後このゝちなみたかくとも、かぜあらくとも、二せん諸君しよくん面前めんぜんあらはれるのは最早もはとほことではあるまいとおもふ。
あなたはたくさん銀を持っていられるようだから、心得までに申しあげるのだが、フレガタせんに追いかけられて船を押えられたら、さからっても無駄である。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
磐石ばんせきとはいうが、こうして茅や葭が生えるのは、しょせんは、土気を含んでいるからだ。ふしぎや、同国のものばかりが一せんに乗り合せ、残らず禅宗ぜんしゅうで宗旨までおなじだ。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)