縡切ことき)” の例文
ドカドカ雪崩なだれ込んだ子分たち、親分溝口屋鐘五郎が、あけに染んで縡切こときれた姿を見ると、さすがに乱酔の酒もさめてしまいます。
そのさむらいのかおは蝋のように変じて、道庵に抱えられながら、虫の息が、ついに断末魔の息となり、やがて眠るが如く縡切こときれてしまいました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
昨夜あんなに元気だった博士は、もうすっかり血の気を失って、半眼を見開き、口を歪めて、蒲団から上半身を現わしながら、強直して縡切こときれていた。
血液型殺人事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
神父は彼がまだ生きてゐると思つてゐて声をかけたが、二度呼んで、縡切こときれてゐることが分つた。
縡切こときれる數時間前お金や子供は寢臺を圍繞して暖い涙を灑ぎ掛けた。之が彼の最後に於ける責めてもの慰藉であつたらう。やがて看護婦は彼の屍に種々の侮辱を加へた。
驚いての手足をあらためると、既に数時間の前に縡切こときれたらしい、老人の肉も血も全く冷えていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「おい、たいへんだ。旦那様が縡切こときれておいでだ」扉を内側から開けて、下男たちがいった。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
被害者が完全に縡切こときれたか、とどめを刺す必要がないかを確かめるために、彼女の心臓の部分に手をあててみると、鼓動がまったく停止していたものだから、すっかり安心して
お勢が、恨み深げな眼を、くわっと宙にみひらいて、床のうえで冷たく縡切こときれていたのである。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「それ。」といって警官の一行は泉原を残したまゝ、五階へ上ると、A夫人は顔を両手にうて、恐ろしさにワナ/\と打震えていた。寝室にはA老人が冷たくなって既に縡切こときれていた。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
新銭座から下谷したやまで駈詰かけづめで緒方の内に飛込んだ所が、もう縡切こときれて仕舞しまった跡。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ましぐらに進み行きけるぐんのあと馬縡切こときれぬ草は喰みつつ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ドカドカ雪崩なだれ込んだ子分達、親分溝口屋鐘五郎が、紅に染んで縡切こときれた姿を見ると、さすがに亂醉の酒もさめてしまひます。
早速さっそく、かゝりつけの太田医学博士が駆けつけて来たが、死後既に十二時間位経過して、昨夜の十時前後にもう縡切こときれているので、いかんとも仕方がなかった。
その上に白布しらぬのをいっぱいにかぶせてあるていを、馬上にいたお雪ちゃんが、最もめざとく見て、そうして、はて、これは急病人ではない、もう縡切こときれている人だ、お気の毒な、急病の途中
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
召使が駆けつけたときは、二人はあおのけに倒れて縡切こときれていた。
誤診 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
ツイ三四間先には死骸が一つ、中年者の武家姿ですが、右手を柄頭つかがしらに掛けたまゝ、大袈裟おほげさに斬られて、縡切こときれてをります。
銭形平次捕物控:126 辻斬 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
しかし老人は枕の上に俯伏せになって、はや縡切こときれていた。
自責 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
即座に縡切こときれたので、むろん、姓名も住所も分らなかった。
その間に平次は四方あたりの様子を念入りに調べます。ツイ三四間先には死骸が一つ、中年者の武家姿ですが、右手を柄頭つかがしらに掛けたまま、大袈裟おおげさに斬られて、縡切こときれております。
銭形平次捕物控:126 辻斬 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「之アどうする事も出来ない。すっかり縡切こときれている」
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
くびのあたりを一と突きにやられ、床から拔け出し加減に血潮の中に縡切こときれ、境の唐紙を開けた次の長四疊には、薄暗い中に据ゑられた不動明王の木像が、嚇怒かくどの面相物凄く
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
くびのあたりを一と突きにやられ、床から抜け出し加減に血潮の中に縡切こときれ、境の唐紙を開けた次の長四畳には、薄暗い中に据えられた不動明王の木像が、赫怒かくどの面相物凄く
銭形平次捕物控:130 仏敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)