知音しるべ)” の例文
ほか知音しるべも無くって請人うけにんになりてもないから、奉公する事も出来ねえで、いっそ身い投げべえとする所を旦那様に助けられ、今では雨にも風にも当らねえで
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
つけしやうゆゑ江戸おもてへも注進ちうしんありしは必定なり然樣の所へ空然々々うか/\と行見付られなば一大事我は泉州せんしうさかひに少々知音しるべ有により彼方へ尋ね行身の落付を定めんと覺悟かくごなし我は三井寺を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
引連ひきつれなみだながらに住馴すみなれし萩を旅立て播州ばんしう加古川かこがはすこし知音しるべのあれば播州さしてぞ立去たちさりける老母をせし旅なれば急ぐとすれど捗行はかゆか漸々やう/\の事にて加古川につきたれば知音しるべたづね事の始末しまつくはしはなし萬事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
以て片田舍へ引籠ひきこもり遣ひのこりし金にて何とか能思案しあんなすべしと思ひて彼是半月餘りもすごしけるに知音しるべの者は日々の暮しに指閊さしつか難儀なんぎ樣子やうすなるにぞ靱負ゆきへは氣の毒に思ひ或日懷中くわいちうより金五兩取り出し紙へひねりてあるじむか御邊ごへん今日の營み是ぞと申程の事もなく日々雇のかせぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)