白練しろねり)” の例文
竹内市兵衛の子吉兵衛は小西行長に仕えて、紀伊国きいのくに太田の城を水攻めにしたときの功で、豊臣太閤に白練しろねりに朱の日の丸の陣羽織をもらった。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そのはよほど家柄いえがらうまれらしく、まるポチャのあいくるしいかおにはどことなく気品きひんそなわってり、白練しろねり下衣したぎうすうす肉色にくいろ上衣うわぎかさ
近邨きんそんで善く射る勇士程霊銑方へ蜃が道人に化けて来ていう、われ呂湖の蜃にくるしめらる、君我を助けなば厚く報ずべし、白練しろねりを束ねたる者は我なりと
愛嬌あいきょうのある男だそうで、その時は紺の越後縮えちごちぢみ帷子かたびらに、下へは白練しろねり単衣ひとへを着ていたと申しますが、とんと先生のお書きになるものの中へでも出て来そうじゃございませんか。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
緩流清澈せいてつ宛然えんぜん一匹ノ白練しろねりナリ。ケダシソノ大蛇トイヒ絹トイフハ水勢ニ由テ名ヲ得タルナリ。氏家駅ニ飯ス。三里余ニシテ喜連川ノ駅ニ宿ス。夜ニ入ツテ従者皆眠ニ就ク。余独リネズ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
老尼のほうは、白練しろねりの絹の頭巾をかぶり、これも竹箒を手にして
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
愛嬌あいけうのある男ださうで、その時は紺の越後縮ゑちごちぢみ帷子かたびらに、下へは白練しろねり単衣ひとへを着てゐたと申しますが、とんと先生のお書きになるものの中へでも出て来さうぢやございませんか。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わたくし服装みなり瞬間しゅんかんかわりましたが、今日きょう平常いつもとはちがって、には白練しろねり装束しょうぞくには中啓ちゅうけいあしにはつるんだ一しゅ草履ぞうり頭髪かみはもちろん垂髪さげがみ……はなはださッぱりしたものでございました。