獅子丸ししまる)” の例文
『おいっ、獅子丸ししまる』と、わざと呼んだ。おもしろ半分に、松明を振りうごかしてばかりいた小冠者は、清盛の濁音だくおんをはね返して、間髪かんぱつに、答えた。
帰朝する際、三器の内玄象げんじょう、青山は無事だったが、もう一つの獅子丸ししまるだけは海神の怒りを鎮めるため、海に投げたといわれる由緒のあるものである。
と、日ごろ、父の目をくらまして飼っていたこの小冠者が秘蔵の軍鶏しゃも——例の街の鶏合わせでよく勝って来る獅子丸ししまるを、なんの惜しみもなく、自分でひねって、清盛のまえに、提げて来た。
獅子丸ししまる。……鶏師、おまえの鶏は』