ゐのしし)” の例文
そして猟をすると、きじはと山鶏やまどりうさぎ穴熊あなぐまなど、面白いほどとれましたし、ときには、大きな鹿しかゐのししなどもとれました。
悪魔の宝 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
丘の所に大きなゐのしし一疋いつぴきの可愛い坊やと一緒にてゐました。おツ母さんは、坊やのせなかたたきながら
熊と猪 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
十日ばかりもつづけて村の山田をあらしに来た大ゐのししを、鳥右さんが矢で射殺したときと、渡り者の山伏が、村の柿の木から、七十八の柿の実をぬすんで逃げようとしたのを
鳥右ヱ門諸国をめぐる (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
なぜだといふと土瓶へ二度目の湯をさしたらすぐに草鞋を穿いたからである。山芋は佳味うまかつた。山芋の續きがゐのししへ移つた。清澄には猪が居る。猪は山芋が好きで見つけたら鼻のさきで掘つて仕舞ふ。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
青井岳あをゐだけの駅出でてよりゐのししの床の話を聴きつつ居たり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ゐのししも共に吹かるゝ野分のわきかな 同
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
大きなゐのししと大きなくまが、二疋共ひきとも引掻ひつかかれて、噛切かみきられて、大怪我おほけがをして死んで居るぢやありませんか。しかも二疋とも大きな石を腹の下に抑へて、頭を並べて死んで居るのです。
熊と猪 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
すると、とつぜん、大きなゐのししがあらはれて、こちらへかけて来ました。
木曽の一平 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
所へ山の上から大きなゐのししのおツ母さんが、どん/\走つて来ました。そして谷の中でビチヤ/\水音がするのを聞いた時、屹度きつと坊やが水遊びをして居るのだと思つたので、やぶの中から大声で
熊と猪 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)