流出ながれだ)” の例文
だって、そりゃ沼からじゃありますまいけれど、梅雨あけに水がえたので、底から流出ながれだしたんだろうッて、貴郎あなたがそう言っていらしったではありませんか。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つぶった目蓋まぶたからは、熱い涙が絶間とめどもなく流出ながれだして、頬を伝って落ちましたのです。馬は繋がれたまま、白樺しらはりの根元にある笹の葉を食っていたのですが、急に首を揚げて聞耳を立てました。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
根方ねかたところつちくづれて大鰻おほうなぎねたやうな幾筋いくすぢともなくあらはれた、そのから一すぢみづさつちて、うへながれるのが、つてすゝまうとするみち真中まんなか流出ながれだしてあたりは一めん
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
根方ねがたところの土がくずれて大鰻おおうなぎねたような根が幾筋ともなくあらわれた、その根から一筋の水がさっと落ちて、地の上へ流れるのが、取って進もうとする道の真中に流出ながれだしてあたりは一面。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)