数年すねん)” の例文
旧字:數年
かくわが朝鮮事件に関せし有志者は、出獄後郷里の有志者より数年すねんの辛苦を徳とせられ、大抵たいてい代議士に撰抜せられて、一時に得意の世となりたるなり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
数年すねん勉強の結果をむなしうして生涯二度の艱難辛苦かんなんしんくと思いしは大間違おおまちがいの話で、実際を見れば蘭と云い英と云うも等しく横文にして、その文法もほぼあい同じければ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それとは無しに探りを入れたが、相手は更に張合はりあいのない調子で、「別に何とも思いません、うして数年すねん住馴すみなれて居りますと、別に寂しい事も怖い事もありません」
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
幼少、播州の法華寺にまなび、中頃は賀西かさいの北条寺や書写山しょしゃざんにも数年すねんいて、修行を積んだ。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爾来じらい数年すねん、志村はゆえありて中学校を退いて村落に帰り、自分は国を去って東京に遊学することとなり、いつしか二人の間には音信もなくなって、たちまちまた四、五年経ってしまった。
画の悲み (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
祖母の死後数年すねん父母ちちははも其跡を追うて此墓のしたうずまってから既に幾星霜を経ている。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
数年すねんの間百丈禅師ひゃくじょうぜんじとかいう和尚おしょうさんについて参禅したこの坊さんはついに何の得るところもないうちに師に死なれてしまったのです。それで今度は潙山いさんという人のもとに行きました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
矢張やっぱり俳優やくしゃだが、数年すねん以前のこと、今の沢村宗十郎さわむらそうじゅうろう氏の門弟でなにがしという男が、ある夏の晩他所よそからの帰りが大分遅くなったので、折詰を片手にしながら、てくてく馬道うまみちの通りを急いでやって来て
今戸狐 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
こは当楼の後ろの大薮に数年すねんすんでいる狸の所為しわざにて、毎度この高味うまいものをしてやらるると聞き、始めてばかされたと気がついて、はては大笑いをしたが、化物ばけものと直接応対したのは、自分ばかりであろうと
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
何でも朋友に相談をして見ようとう思うたが、この事も中々やすくないとうのは、その時の蘭学者全体のかんがえは、私をはじめとして皆、数年すねんあいだ刻苦こっく勉強した蘭学が役に立たないから
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
先方ではう云う事は思いも寄らぬ事だとう察して、ねんごろに数えてれるのであろうが、此方こっちは日本に居る中に数年すねんあいだそんな事ばかり穿鑿せんさくして居たのであるから、ソレは少しも驚くに足らない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)